プーチン氏、軍撤収は「状況次第」 独と協議継続で一致
【ベルリン=石川潤、モスクワ=石川陽平】緊迫するウクライナ情勢を巡り、ショルツ独首相とロシアのプーチン大統領が15日、モスクワで会談した。ロシア国防省は同日、演習を終えた部隊の撤収を発表し、ショルツ氏は「良い兆候だ」と評価した。ただ、プーチン氏は今後も撤収を続けるかは「状況次第」とし、米欧への揺さぶりを強めている。
「今の状況は厳しく深刻にみえても、それが絶望的だと言うつもりはない」。会談後の共同記者会見でショルツ氏はこう述べた。ロシアがウクライナ国境に10万を超える兵力を結集させて一触即発の状況が続いているが、ショルツ氏は「外交による解決の可能性は尽きていない」として、ロシアとの協議を続けていく考えを示した。
プーチン氏も会見で欧州の安保について「協議を続けていく用意がある」と語った。戦争を望んでいるかを問われると「望んでいない」と回答。米国と北大西洋条約機構(NATO)から1月下旬に受け取った欧州安保に関する書面回答について、不満を示すだけでなく「いくつかの(評価できる)考え方があった」とも語った。
今後の焦点になるのが、懸案であるウクライナ東部の紛争解決だ。両首脳は独仏ロとウクライナによる4カ国協議の枠組みが重要との認識で一致した。ショルツ氏は停滞している4カ国協議の「前進が必要だ」と指摘。プーチン氏は独仏がウクライナへの影響力を行使し、解決策を見つけるように求めた。
ロシア国防省は15日、各地での軍事演習を終えた部隊から順に「駐屯地への進軍が始まる」と発表した。撤収するのは南部や西部の軍管区部隊としている。プーチン氏はウクライナ国境からの撤収を進めていくのかと問われると「状況次第」と指摘。本格的な撤収は今後の協議の進捗などにかかっているとの考えをにじませた。
NATOのストルテンベルグ事務総長は15日の会見で「現時点でウクライナ国境でのロシアの軍事的プレゼンス低下は見られない」と述べた。米国のジュリアン・スミスNATO大使も「精査して検証する必要がある」と記者団に語った。「過去には緊張緩和だと主張しながら実態を伴わないことがあった」と懐疑的な見方を示した。
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