東芝メモリ売却、革新機構など日米連合が30日にも買収提案提示へ

 東芝が売却手続きを進める半導体子会社「東芝メモリ」について、官民ファンドの産業革新機構や米投資ファンドなどによる「日米連合」が30日にも具体的な買収提案を提示する見通しとなった。政府が主導する日米連合の枠組みは、最有力の売却先候補とされる。東芝と売却をめぐり対立する米ウエスタンデジタル(WD)の合流や、日本の事業会社の参加などが焦点になる。

 30日に革新機構で支援や出資の対象や内容を決定する「産業革新委員会」が開かれ、東芝メモリ買収の陣容や金額など具体的な提案について協議する。

 革新機構はこれまで日本政策投資銀行、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)と共同で応札する方向で調整してきた。政府も技術や雇用の維持、各国当局による独占禁止法の審査などに有利な点を踏まえ、日米連合の買収が望ましいとの姿勢だ。

 東芝が19日に締め切った東芝メモリの2回目の入札には、KKRが単独で応札する一方、革新機構や政投銀はKKRなどと連合を組む前提での意向表明にとどまった。経済産業省と経団連は、「奉加帳」方式で複数の事業会社に連合に加わるよう呼びかけたが、企業集めが難航して陣容が固められなかったからだ。

 東芝幹部も革新機構などからの提案について、「奉加帳がまとまるのかに注目している」と語る。

 一方、東芝メモリの他社への売却に反対するWDへの対応も焦点になる。関係者によると、WDと日米連合の合流を模索する動きが出ており、水面下で調整をしているとの見方もある。WDが譲歩して連合に合流する案が引き出せれば、売却手続きが一気に進む可能性もある。(万福博之)

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