ドコモが「iPhone6s」1万円値上げ 来月から、2社も追随へ
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こと携帯のトピックになると、皆消費者目線でのバラけた論点になりますね。
大きく、三社の料金体系とMVNO、今回の値上げの規模感についてコメントします。
・料金横並びを見て「競争が働いていない」という指摘がよくありますが、正しい理解は「料金に模倣困難性がなく、どの会社もコスト優位性を有していない」ということです。
仮に他社が安い料金を出したら、携帯電話はストックビジネスですから同じようなレベルの料金で追随しなければ顧客流出となり、収益性が悪化します(値下げ分も収益が悪化しますが)。
料金以外の絶対的な差別化要素(例えばネットワークや端末、店頭サービスが他社より明らかにいい)がない限り、料金が主な競争要因になり、結果として横並びになるのは資本市場では当然かと。
・関連してMVNOについて。なぜMVNOがあれだけ安い価格で提供できるかと言えば、携帯キャリア(ほぼドコモ)から、ほぼ原価で回線を調達し、それ以外の部分でコストをかけていない(少ない帯域に契約者を押し込める、店舗サポートなし、端末割引なし、災害時等の備えなし 等)からです。
携帯キャリアは「接続会計」という総務省指定の会計方針に則りネットワークの原価を算出し、資本コスト相当の利益を上乗せしてMVNOに提供することを義務付けられています。(資本コスト相当の利益ということは儲からないということです)
・今回の値上げについて、仮に三社ともに値上げを実施したとして、MNP市場が数百万台であることを考えれば、業界として下記の規模のコスト減となります。
数百万台 × 1~2万円 = 数百億円
一方、これを契約者の割引にあてはめると、
数百億円 ÷ 1億人 ÷ 12ヵ月 = 数十円
と月額料金で数十円の値下げ原資にしかなりません。
その極めて限られた値下げの原資を、誰にどのように配分するのか、はたまた「官制不況の再来」と言われるレベルまで端末料金を値上げし、国内スマホベンダーを潰して月額料金の値下げに踏み切るのか、各社検討しているところでしょう。