ジャン・コクトーや西脇順三郎に刺激受けた台湾詩人たちのドキュメンタリー予告編

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台湾のドキュメンタリー映画「日曜日の散歩者 -わすれられた台湾詩人たち-」の予告編がYouTubeで公開された。

「日曜日の散歩者 -わすれられた台湾詩人たち-」

「日曜日の散歩者 -わすれられた台湾詩人たち-」

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「日曜日の散歩者 -わすれられた台湾詩人たち-」チラシビジュアル

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第53回金馬奨最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した本作は、1930年代に日本統治下の台湾で誕生したモダニズム詩人団体・風車詩社にスポットを当てた作品。西脇順三郎などの日本文学や、ジャン・コクトーなどの西洋モダニズム文学に触れ、母国語ではない日本語での詩作に葛藤しながらも、新たな台湾文学を創造しようとした彼らの軌跡をたどる。メガホンを取ったのは、本作で長編監督デビューを果たした映像作家ホアン・ヤーリー。予告編は詩の朗読、写真や当時の資料映像などで成り立っている。

「日曜日の散歩者 -わすれられた台湾詩人たち-」

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また今回、「淵に立つ」で知られる映画監督・深田晃司と、フランス文学者の巖谷國士から本作にコメントが寄せられた。深田は「映像も音響も詩もまるで等価であるかのようにただスクリーンに差し出されてゆく。物語としての熱狂を糊塗することなく恐ろしくシンプルに差し出される日本と台湾の歴史の断片」と本作の演出について言及。巖谷は「貝殻や果実や蝶、絵や写真やオブジェたちの驚異。ソルヴェイグの歌の切なさ。いまファシズム再来の危機を拒もうとしている隣国で、ホアン・ヤーリーの明敏な歴史感覚と詩的精神を称えたい」と語った。

「日曜日の散歩者 -わすれられた台湾詩人たち-」は、8月19日より東京のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。

深田晃司 コメント

風車詩社の詩人たちの日本語はとても美しい。
美しいがゆえに、私たちの胸を痛みとともに締めつける。
詩人たちが生まれたとき、そこはすでに日本の植民地であった。
詩の輝きは彼らのものだ。しかしそこには常に同化政策の影と不条理が付き纏う。
映像も音響も詩もまるで等価であるかのようにただスクリーンに差し出されてゆく。
物語としての熱狂を糊塗することなく恐ろしくシンプルに差し出される日本と台湾の歴史の断片。
これは過去の話ではない。今を生きる私たちと地続きの映画である。

巖谷國士 コメント

1930年代、帝国日本の圧制と差別と治安維持法のもとで、日本語の表現しかできなかった台南の若い詩人たちは、日本経由で西欧のモダニズムに目ざめ、美しい「共謀」を試みて挫折した。シュルレアリスムは未消化に終ったが、80年後、新しい映像の冒険が彼らを蘇生させ、独自のシュルレアリスムの方法で一篇の叙事詩を実現する。貝殻や果実や蝶、絵や写真やオブジェたちの驚異。ソルヴェイグの歌の切なさ。いまファシズム再来の危機を拒もうとしている隣国で、ホアン・ヤーリーの明敏な歴史感覚と詩的精神を称えたい。

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Kyoko Nakanishi @mmktn

ジャン・コクトーや西脇順三郎に刺激受けた台湾詩人たちのドキュメンタリー予告編 - 映画ナタリー https://t.co/ViaYGicwWg
「風車詩社」のドキュメンタリー。これは見たい

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