烏賀陽弘道(報道記者)「私は30年間記者をやっていますが「取材費」を払ったことはないです。(中略)そんな無知だから無職なんですよ」
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フリージャーナリストは炎上しないと食っていけないのだろうか。私も炎上させた方が本が売れるのだろうか、とちょっと考えて見たり。
ちなみに商業ジャーナリズムの世界では、取材協力費、原稿料、コメント料、ガイド料、車両費、写真提供料、そのたいろいろの名目で、実際上は情報に対する対価、取材に関する便宜料を支払うことがあります。あるいは、”人間関係を築く”という方便で、接待したり贈り物したりすることもあります。本人ではなく、奥様に、お嬢さんに、とお土産を渡すとかもあります。これを情報の対価としてしまうと、相手が賄賂をもらって情報漏えいと、言われたりしますので、そうならないように細心の注意を払います。あるいは、情報の対価は情報、というバーターもあります。そうすると、いわば二重スパイとか、信義の問題とか言われちゃうこともありますよね。
無償で提供される情報というのは、提供者の利益になる形で提供されるもの、あるいは誰でも取材できるオープンソースのもの。ただ、表向き「金で買う情報」というものが危ういことも確かで、建前、金銭のやりとりをしない、という姿勢は大切です。ですが、なかなかそうもいかない。ジャーナリズムとは、そういうグレーゾーンをかかえる仕事です。
被災地取材で案内者に対価を支払うかどうかは、取材する側の意識と取材協力する側の意識のすり合わせの問題ですね。取材する側に、自分の取材は被災地の利すると思ってボランティア精神と正義感で取材していた人が、商業ジャーナリズム扱いされて対価を要求されたときに、なぜ?と思う気持ちも分からないわけではない。私は商業ジャーナリズムこそフェアなジャーナリズムの基本と思っているので、ガイド料、仲介料を支払うことは普通にしますし、相手が善意で協力しているのだ、といえばそれに甘えることもあります。
戦場取材だと高額のガイド料を要求されても、変に思わないでしょ。海外の山岳地帯の被災地取材で善意で案内してくれる村人に対しては、要求されなくても普通にいくらか包んで、こっそり渡すでしょ。日本人からそれを要求した場合、日本人らしくない、と思うことはあっても、ここまで罵詈雑言で応酬するようなものでもないと思うの。