去年の給与総額 実質賃金で5年ぶりプラスに
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2016年度の賃金指数の特徴は、3月、6月、7月の3か月にわたって、名目上昇率が前年同月比で1%を超える高い伸び率を示す中で、実質賃金指数がこれを更に上回る上昇率を記録したということ。(3月名目:1.5%実質1.6%、6月名目1.4%、実質2.0%、7月名目1.5%、実質2.0%)
http://nonkinonki007.blog.fc2.com/blog-entry-157.html
http://nonkinonki007.blog.fc2.com/blog-entry-263.html
「名目」とは「金額」を表す数字で、「実質」とは「量」を表す数字。
実質の分母は消費者物価指数総合(持ち家の帰属家賃を除く)であり、賃金で考える場合はこの「消費者物価指数総合(持ち家の帰属家賃を除く)」のことがイコール「物価」として考えられています。
今年度実質賃金が上昇した最大の理由は、名目値が上昇したことではなく、「原油価格の下落に伴って、エネルギー価格が大幅に下落したこと」にあります。
「名目値」とは、「物価×消費量(実質値)」ですから、「物価」が下落するということは、掛けられる側である「実質値」がよほど上昇しなければプラスに転じることはありません。
単に前年度比をクリアするだけでなく、それを上回る量の実質値が上昇しなければ、名目値が+に転じることはありえないのです。
このケースは賃金に伴う名目値ですから、GDP等の指標と同列には考えられないかもしれませんが、「物価が下落すること」=「消費が下落したこと」ではない、ということを示した典型的な事例です。
日銀及び安倍内閣が目指しているのが「2%の物価上昇」ですから、ここにとらわれていると、「物価が下落しているからアベノミクスが失敗した」様にとらえがちですが、この数字を見ても「物価が下落しているからアベノミクスが失敗した」説がいかに経済の実態を見ていない妄想であるのかということがよくわかります。
注目のコメント
実質賃金が五年ぶりにプラスになった背景には、物価が下がったこともさることながら、賃金水準の高い一般労働者数の伸び加速と賃金水準の低いパートタイム労働者数の伸び鈍化が名目賃金上昇に効いていることにも注目すべきでしょう。
というか「じゃあアベノミクスの過去5年間はマイナス(あるいは横ばい)だったのか」と驚く人が多いのでは。
やれ経団連など大企業は四年連続ベアだとか有効求人倍率は過去最高とか、都合の良い数字だけ切り出してメディアがよいしょばかりしてるから、実態は何も伝わってないですよね。名目賃金の改善ももちろんですが、所定内給与が6か月連続で改善というのは要注目です。ただ、長期時系列でみた所得分布別の伸びをみると、高所得層は再分配後で低迷が続いており、ボトムアップの傾向が続いているようにみえます。