ファン・ビンビンさんの脱税認定 146億円支払い命令、中国女優
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中国では、まだまだ納税意識が薄く、如何に脱税を取り締まるか、ということが、近年の大きなテーマとなっております。
そこで、見せしめ的な意味で、一般市民からよく知られているトップ女優のファン・ビンビンさんに、白羽の矢が立ったのでしょう。
似たような事例として、昨年トップ女優のヴィッキー・チャオに対し、「ペーパーカンパニーで上場会社を買収しようとした罪」として、5年間の投資活動禁止と罰金を下されました。同案件で、政府高官らの親族やジャック・マー氏らの名前が挙がっていたのにもかかわらず、彼らへの言及はせずに。
https://www.epochtimes.jp/2017/11/29539.html
芸能人の立場の弱さをつくづく感じます。
財界人の立場も、官僚と比べると決して強くはないですが、ジャック・マーは中国財界の顔として、世界中を飛び回っている存在である上に、現在、中国の金融改革にもっとも密に関わっている存在なので、立場は強いでしょう。
ただ、ここまで目立った存在となると、権力を無くした引退後、彼の身にも何か起きるのではないかと、懸念がよぎります…改めて、ここまでに至った背景と経緯です。
・巨額のお金が動く中国芸能界では、近年、税務署に出す契約書を過少申告し、裏の契約書を交わす「陰陽契約」(=二重契約)が深刻化し、当局はそれを問題視していた。
・当局が網を張るなか、人気司会者・崔永元氏がファン・ビンビンさんの二重契約を暴露したのが、本件の発端。
・10数年前、崔氏が人気司会者になるまでのサクセスストーリーが、本人に無断で映画化され、プライベートを暴かれた崔氏は、番組降板など大きなダメージを受けた。その映画で一気にスターダムに上り詰めたのが、ファン・ビンビンさん。
・先般、その映画の続編制作が決定し、ファンさんがSNSに「撮影現場は楽しいです」などと投稿した事で、崔氏は激怒。報復のために、映画の二重契約書を暴露し、その中にファンさんの名前もあった。
・所属事務所は否定したが、ファンさん名義の多数のペーパーカンパニーの存在などスキャンダルが続々発覚し、ファンさんは消息不明に。
・暴露した崔氏本人も、ここまで騒動が大きくなるとは思っていなかったらしく、ファンさんのファン(ダジャレみたいですいません)からの殺害予告を受けるなど、渦中の人となった。
制作費難に喘ぐ台湾映画業界と違い、中国の映画業界は本当に規模がでかいです。光が強ければ影も濃くなる、と言えます。ファン・ビンビン問題、これにて決着のようです。当初問題とされた陰陽契約(二重契約)による脱税認定は730万元。それとは別にファン・ビンビン問題が代表を務める企業の脱税が1億3400万元というわけで、もともとの火種(二重契約)とは別のところがフォーカスされる結果に。
中華帝国の官僚は「父母官」と呼ばれていました。パパママのように生活のいたるところまでご指導くださるありがたい存在。で、中国共産党もその性格を受け継いでおりまして、「俳優が稼ぎすぎるのはいかがなものか」「エロはあかん」といった事細かなことに口だししますし、ファン・ビンビンに対して世間の風当たりが強くなると「庶民の代わりに一発しめておこう」という判断も働いたり……。
私はよく講演などお話するのですが、「チャイナリスクは外国企業だけではなく、中国企業も対象」なのです。ファン・ビンビンはその犠牲になった、という感想です。