微量の血液からアルツハイマー推定、島津が受託解析サービス
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この血液検査でアルツハイマー病を実際どのぐらい正確に診断できるかというデータが私の知る限りではまだしっかりと取れていないと思います。パーフェクトな検査というのは存在せず、偽陰性や偽陽性と呼びますが、検査が陰性となっても実際には病気があったり、その逆も存在してしまうので、その確率をまず評価する必要があります。その上で、診断への正確性が十分担保されれば、近い将来、臨床的な有用性が高まる可能性はあります。
加えて、この検査を発病を「推定」することに利用するとなると、もう一つ問題が生じます。アルツハイマー病を早期発見できても、現状では予防介入や根本的な治療介入ができないので、そこに倫理的な問題が生じるのです。
まずは研究の世界で現実的な利用価値が出るものと思います。山田Pro, 椎名解説員、佐々木解説員、上松さん、渡辺さん、Saitouさんのコメントが既にわかりやすいと思います。
私はビジネス的な観点から、私見を加えさせて頂きます。
【技術】
画像ではない、質量分析を使用した0.6 ml の血漿成分から検出
【背景】
① アルツハイマー病は認知症のなかでも5割以上であり、世界的に莫大な市場でどこの製薬企業、バイオテク企業も激しい競争中。
②「アミロイドβの蓄積を防ぐ」「タウの蓄積を防ぐ」「海馬の萎縮を防ぐ」などアプローチ的にも学術的にも色々な論争がありますが、逆にだからこそ、それも含めてアミロイドβの蓄積はモニタリングしたいニーズが無茶苦茶存在する。
③ 今までポシャった臨床開発は、評価系が未熟であり、病気が進行してからの患者さんを対象にしたりしていたため、数十年前から蓄積が始まるというアミロイドβの検出を早期に発見、薬効と相関が証明できれば、良い結果が出るかもしれない。(or 臨床試験で結果が出るスタディが組めるかもしれない)
④ 質量分析なので、抗体薬を作る場合アミロイドβの分子種の違いまで簡便に解析できるのは強い。
以上、かなりのニーズが見込まれると思いますし、島津は製薬メーカーではないですから自身の技術力を最大限に活かし、大きな需要に対して受託製品を用意していただいた事になります。1月末の論文発表から、なるべく早くサービス化にこぎつけたのにも納得ができます。元論文のNatureの引用数も上がるでしょうし、研究者側からすると科学的に評価として導入しやすく、今後この技術を使ってアミロイドβ論争に関してもわかってくることが増えると思います。「アミロイドβは質量分析で」島津にはスタンダードを築いて頂きたい。
あと、これは受託サービスなので、診断などに使うわけではなく、この段階では「研究用の受託解析サービス」です。
大丈夫だと思いますが、専門外の方のために。
> Shimizu Kosuke
例の構想で、アカデミアはフリーアクセスお願いします(笑)