(これでも)超高速! TPP著作権問題の経緯と展望 -INTERNET Watch
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知財、特に著作権周りの議論の整理と俯瞰を与えてくれる必読記事。知財問題は、立法論、社会制度論、行政執行論、そして産業・文化振興論などが多岐にわたって絡みあう複雑怪奇な領域なので、こうやって俯瞰的視座を与えてくれるのは超ありがたい。
デジタル領域の人間であり、またレッシグの名著「CODE」で鮮烈な影響を受けた僕としては、おもいっきりデジタル側のバイアスが入ってはいるが、やはり著作権コントロール強化の方向のみに制度設計がひた走ることには大変危惧する。諸外国との足並みを揃えることの意義も当然理解はするが、外交問題として、何かとのバーターで著作権領域のいくつかの論点について妥協するような流れは、(致し方ないとは思いつつ)賛同できない。
いま、TPP締結の話の流れで、「著作権保護期間」と「非親告罪化」に議論の焦点が集まっているが、数年前にかなりメディアでも扱われた「フェアユース規定」のことももう一度考えたい。これは、「権利者に実害がない公正な利用は、許諾なく自由に行って良いとする一般規定」で、良質なパロディやネット上の流通を支えるものだが、数年前に文科省の審議会や研究会でかなり議論はされたものの、権利者側からの強い反対で実質骨抜きにされた改正案になってしまった。事業者と権利者の間の溝は悲しいほどにまだまだ大きいが、この領域の議論の双方の支えとなっていた東大名誉教授の中山信弘先生もほぼ引退されて、議論の道筋はまったく見えない。この縄張り争い的な議論の立て付けからなんとか逃れられないものか。いつも感じる。